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ファンドマネージャーの転職事情とは

流動性が高まるプロ投資家の転職市場

金融業界の花形とも言えるファンドマネージャーですが、そのキャリアパスは決して一本道ではありません。
かつては日系大手運用会社で定年まで勤め上げることが一般的でしたが、近年はより高いパフォーマンス報酬や裁量を求めて、外資系運用会社やヘッジファンド、あるいは独立系投資顧問会社へと転職するケースが増加しています。

特に昨今は、パッシブ運用の台頭により、アクティブ運用を行うファンドマネージャーには、より際立ったアルファ(市場平均を上回る超過収益)を生み出す能力が厳しく問われるようになっています。

市場動向としては、即戦力となる経験者の引き抜きが活発化しており、特にプライベート・エクイティやオルタナティブ投資の分野で人材需要が高まっています。
自身のトラックレコードを武器に、どのフィールドで勝負するのか。その選択がキャリアの明暗を分ける時代と言えるでしょう。

アセットマネジメントとヘッジファンドの決定的な違い

ファンドマネージャーの転職先として主に検討されるのが、一般的な投資信託委託会社などのアセットマネジメント会社とヘッジファンドです。
どちらも投資家の資金を運用するという点では同じですが、その目的や手法、そして求められるプレッシャーの質は大きく異なります。

アセットマネジメント会社

日系大手や外資系のアセットマネジメント会社では、主に公募投資信託や年金基金などの運用を行います。

運用の目標

基本的にはベンチマークを上回ることを目指す相対収益が評価基準となります。指数に連動しつつ、いかにプラスアルファを乗せるかが勝負です。

仕事内容とスタイル

ロングオンリーが基本戦略となることが多く、空売りなどは制限されるケースが一般的です。
また、投資委員会など組織的な意思決定プロセスを経て銘柄を選定するため、個人の直感よりも、顧客への説明責任や論理的な根拠が重視されます。

求められる資質

協調性や論理的思考力、そしてコンプライアンス遵守の精神が求められます。組織の一員として、安定的に成果を出し続ける持久力が必要です。

ヘッジファンド

一方、富裕層や機関投資家から資金を集め、あらゆる手法を駆使して運用するのがヘッジファンドです。

運用の目標

市場環境に関わらずプラスのリターンを目指す絶対収益が至上命題です。相場が暴落している局面でも、利益を出すことが求められます。

仕事内容とスタイル

ロング・ショート(買いと空売り)、デリバティブ、レバレッジなど、取れるリスクの幅が広く、運用の自由度が非常に高いのが特徴です。
そのぶん、個人の裁量が大きく、結果がダイレクトに報酬や雇用に直結します。パフォーマンスが悪ければ即解雇という厳しい世界でもあります。

求められる資質

独自の相場観と、瞬時の判断力、そして何より強靭なメンタルが不可欠です。組織の論理よりも、結果のみで自身の存在価値を証明できるアグレッシブな人材が適しています。

自身の投資哲学に合ったフィールドを選ぶ

転職を考える際は、単に年収の多寡だけでなく、自分がどのようなスタイルでマーケットと対峙したいかという投資哲学を見つめ直すことが重要です。

組織の力を使って巨額の資金を動かし、経済全体を支える役割を担いたいのであればアセットマネジメント会社が向いています。
一方で、リスクを取ってでも自身の相場観を試し、青天井の報酬を目指したいのであればヘッジファンドへの転身が有力な選択肢となるでしょう。

運用スタイルと自身の適性のミスマッチは、ファンドマネージャーとしての寿命を縮めることになりかねません。慎重かつ戦略的なキャリア設計が求められます。