【2022年】米国市場の動向

見通しが外れて大幅下落
2022年の下落率は8.7%と、リーマンショック(2008年)以来の大きな下落率となりました。インフレが続いたことに加えて、6月にはFRB(連邦準備制度理事会)がかなり思い切った利上げに踏み切ったことも影響し、景気後退の懸念や業績圧迫に対する警戒感が残った影響も大きなものとなりました。
このような傾向から、景気敏感株や消費関連の株の売りが進み、相場が下がりました。S&P500やNYダウなども予想しないほど反落していたといえますが、どちらかといえばハイテク企業やIT関連企業の割合が高いNASDAQ指数のほうが打撃を受けていました。
2022年には、S&P500は19.4%、NYダウは8.9%、NASDAQは33.1%がそれぞれ下落しました。
特に、NASDAQの下落が顕著でした。NASDAQ扱う銘柄のほとんどが、シンプルに金利の値動きを受けやすい株式ということもあり、反落を招きました。また、NASDAQ-100のようなグロース株への影響もかなり大きかったということが分かります。
インフレ・ウクライナ侵攻による先行き懸念
2021年から続く新型コロナウイルスの影響でインフレは予想されていましたが、2月にロシアがウクライナへの侵攻を始めたことを皮切りに、金融市場は想像していた以上の打撃を受けることになりました。ウクライナ侵攻に伴い、原材料コスト上昇によって物価が予想を上回るほど高騰しました。特に、ウクライナ危機の長期化によるエネルギーの供給懸念により、エネルギー価格の高騰も見られました。
2023年に入ってからも停戦協議には進展が見られないため、景気後退はますます進む可能性があります。引き続きアメリカの経済の先行きは不透明であり、2023年も振り幅の大きい年になる可能性があります。
2023年の見通し
2022年の米国株式市場は、株価が上がる見込みでした。しかし、見当違いとまではいかなくても、見通しが外れる結果となりました。
2023年も懸念はありますが、先行きが不透明な状況が続くことが予想されます。特に、FRBが早期の利下げに踏み切るかどうかについては、アメリカの景気動向がどうなるかによって変わってきます。2022年はインフレ加速によるリスクが懸念されていましたが、2023年からは景気後退によるリスクに気を配る必要がありそうです。
いまのところ、医薬品やバイオテクノロジーの株価は、ディフェンシブ銘柄といわれるだけあり、底堅い値動きを見せています。ヘルスケア関連銘柄など、景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄が優位に働く可能性もあるかもしれません。